【アニメ】『宇宙よりも遠い場所』のめぐっちゃんにまつわる心理描写がスゴイ【ネタバレ感想】

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ご注意

この記事はアニメ『宇宙よりも遠い場所』の重大なネタバレを含みます。
全話鑑賞した人向けです。
未見の方はご注意ください。

こんにちは。gtgtです。

先日、  『よりもい』のネタバレなしレビュー記事を投稿したところですが、この記事では本作のネタバレ部分にも触れつつ、本作への考察と感想をより深く掘り下げていきます。

タイトルの通り「めぐっちゃん」の心理描写についてのお話です。彼女は『よりもい』の5人目の主人公、いや個人的には実質主役だと思ってます。それくらい彼女に関するストーリーや描写が素晴らしいと感じました。

※この記事は『宇宙よりも遠い場所』を全話鑑賞した方向けの記事です!未見の方はこちらの記事へどうぞ。

大丈夫な方はスクロールして読んでください。

めぐっちゃんとキマリの関係

「なんか、嬉しかった。お姉ちゃんになったような気がした」

第5話のモノローグからもわかるように、めぐっちゃんは、幼いころからキマリの「お姉さん」のような立場にいて、そのことが彼女の自信のひとつでした。

そんな関係が高校生になってもなお続いていることは、第1話ですでに明らかです。

どこかそそっかしく、臆病なキマリを、めぐっちゃんが「しょうがないな」「そういうものなんだ」と受け止める。挑戦に踏み切れないキマリに、「失敗したとき傷つくだろうからね」とフォローを入れる。

めぐっちゃんがキマリを助け、キマリはめぐっちゃんに助けられる。この関係は、はた目からは姉妹のように微笑ましいもののように見えます。しかし、その裏に潜んでいた相互依存ともいえる危うさが、キマリと報瀬の出会いから徐々に明るみになってゆくのでした。

第4話までの二人の関係の変化

キマリは報瀬と出会い、彼女が同級生たちから「行けるわけがない」と言われ続けても、南極観測隊員に断られ続けても、決してあきらめずに前に進み続ける姿を目の当たりにします。

それまで当然のようにめぐっちゃんに助けられて過ごしてきたキマリは、そんな報瀬の姿に憧れを抱き、やがて「私も南極に行く」と行動を始めます。

このあたりからめぐっちゃんは、民間南極観測隊にまつわる良くないニュースを探してはキマリに見せ、「本当に行けるのか?」と問いかけるなど、南極へ行くことを諦めさせようとしているかのような行動を見せ始めます。

報瀬との出会い以降のキマリは、めぐっちゃんから放課後一緒に遊ぼうと提案されてもやんわりと断り、バイトへ向かったり報瀬と一緒にどこかへ行ってしまったり……。めぐっちゃんにしてみれば、ずっと一緒にいた幼馴染をポっと出の「南極」にとられてしまったようで、とても寂しかったことだろうと推察せずにいられません。

思えばキマリは、南極へ行くにあたり、5話でめぐっちゃんから絶交宣言を受けたとき以外には、彼女を誘うことはありませんでしたね。キマリ自身にも無意識のうちに、「たとえ南極へ行くとしても、めぐっちゃんと一緒では意味がない」と考えていたのかも。

第5話の「絶交宣言」

第5話では、キマリが旅立つ朝に、めぐっちゃんはキマリの家まで「絶交」を宣言しに来ます。美しい朝日に顔を向けるキマリと、美しい朝日に背を向けるめぐっちゃんの対比が、なんとも暗喩的で、きれいだけど切ない名シーンですね。

依存していたのはどちらなのか

本当はくっついて歩いてまわっていたのは、キマリではなく自分だったんだと吐露するめぐっちゃん。動揺し、混乱したようすで、言葉をかけようとするけど何を言えばいいのかわからないキマリ。

最初にめぐっちゃんがキマリに「世話を焼いてあげた」きっかけは、本当に純粋なほんの親切心だったのかもしれません。けれど、二人が歳を重ねていくにつれ、周りの目とか、二人の社会的な立場とか、それぞれの抱えたコンプレックスとか、そういうものが二人の関係に、ちがった意味を帯びさせてきたのでしょう。

「面倒見てあげる」とか「世話を焼いてあげる」のって、相手に対して優位になれて、支配欲とか、自己顕示欲とか、そういうものを満たすことができる行為です。その上、周囲からの「面倒見のいい優しい子」という評価がついてくる。

だから、めぐっちゃんにとってのキマリという存在には、「自分を優れた存在だと思わせてくれる人」という意味合いが、どこかにあったのでしょう。めぐっちゃんからすれば、キマリには「弱くてなにもできない、守ってやらなきゃならない存在」でいてもらわなければ困るのです。

対するキマリにも同じように、自分が一歩踏み出せない理由を「自分はめぐっちゃんがついてないと何もできないから」だと言い訳することができます。キマリにとってのめぐっちゃんという存在には、「弱さの言い訳」とか「無条件に甘やかしてくれる人」という意味合いがあったのでしょう。

めぐっちゃんはキマリに依存し、キマリはめぐっちゃんに依存していた。お互いにとって有益な関係を演じあっていたと受け取ることもできそうです。すこしいびつな関係にも思えますが、人間やってれば必ずどこかで遭遇する関係であると言えるかもですね。

「絶交」はめぐっちゃん自身への罰

めぐっちゃんは、キマリが踏み出そうとする一歩を妨げるかのように、キマリたちの悪い噂を流したり、民間南極観測隊の雲行きを怪しむニュースを見せたりしていました。

絶交シーンでは、噂を流したのが自分であることを告白し、「キマリたちが気付いて怒るのを待っていた」と打ち明けます。

その理由を問われると「わかんねえよ!」と返す彼女ですが、もしかしたらめぐっちゃんは、「キマリが一歩踏み出して、置いてけぼりにされる無力な自分」になってしまうのを恐れ、あえてキマリたちを怒らせて絶交を宣言させようとしたのではないでしょうか。つまり、「置いてけぼりにされる無力な自分」になるより、「キマリたちから絶交を言い渡されて一人になった自分」のほうが都合がいいということです。

「無力なせいで一人になった自分」よりは「怒った友人から距離を置かれた自分」になる方がダメージは少ないし、実際めぐっちゃんはキマリの挑戦を素直に応援することができなかったので、自己懲罰というか、こんなことをしたのにはそういう側面もあったのではないか、と思います。

しかしキマリたちは最後までめぐっちゃんの行為に気付かないままで旅立ちの日を迎えました。だからこそめぐっちゃんは、最後の最後にキマリのもとに足を運び、これまでにしてきたことを打ち明け、「絶交」することで、自分の行いや醜い嫉妬心に対する罰としようとしたのかもしれません。

でも、たとえめぐっちゃんがキマリたちを傷つけるようなことをしたといっても、自ら非を認めて、自分の弱さを認めて、謝ることができる彼女は、素晴らしく強い女の子だと個人的には思います。できないでしょ普通。

そしてキマリだって、そんなめぐっちゃんだとしても大好きな友達なのです。「一緒に……行こう……」「南極ぅ!」って、ぐしゃぐしゃの泣き顔で叫びます。そんなこと言ったってもう今更遅いと、彼女自身もよく分かってるはずなのに。最高に切ない「一緒に行こう」です。

結局キマリは「絶交無効」の言葉を残してひとりで旅立ってゆきますが、めぐっちゃんはどこか決意を固めたような表情を見せています。彼女のもとからキマリが去った今、もうめぐっちゃんには「自分を守ってくれるものが何もない」のです。そういう意味では「キマリが南極へ行ったことで、めぐっちゃんも別の南極へ行った」とも言えるかもしれません。

キマリの南極行きは、めぐっちゃんをも強くした

キマリは「めぐっちゃんに守ってもらってばかりの自分じゃダメだ」と考えて踏み出すことができたけど、対するめぐっちゃんは、もしキマリが踏み出さないままだったら、きっと「キマリを守ってあげるだけの自分」から脱することは、なかなかできなかったと思います。

キマリのおかげでめぐっちゃんは成長できたと言い換えることもできるのです。

まあ……「ここじゃないところに向かわなきゃいけないのは、私なんだよ!」という5話でのめぐっちゃんのセリフが、まさか最終話であんな形で回収されるとは、誰も想像してなかったと思いますが。

きっとめぐっちゃんなりに、大きな一歩を踏み出したキマリと対等な関係でいられるにはどうしたらいいか考えて、あの結論に至ったのでしょう。

本作は登場人物の心の描写が全体的にとても丁寧ですが、めぐっちゃんの描写はとりわけ深く丁寧で、素晴らしいと感じました。彼女のしたことはともすればキマリからも視聴者からも嫌われかねないことですが、それでも彼女がどうしてそんな行動に至ったのかを理解することができれば、彼女のことがいっそう身近で愛しい存在のように思えました。最終話では誰もを驚かせるような「旅」に出ていたことが明らかになり、彼女なりに自分の殻を破ることができたのが、いち視聴者としてとても嬉しく思いました。

ありがとう、よりもい…………。

キマリとめぐっちゃん、それぞれの旅を終えて再開したあとは、きっとそれまで以上に素晴らしい友情を築けるだろうと確信しています。

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