【漫画】『ブルーピリオド』がとにもかくにもアツい【レビュー】

漫画


こんにちは!物心ついたころから絵を描くことが好きで、なんだかんだ20年以上、絵の趣味を続けているgtgtです。

最近、アフタヌーンで連載中の漫画『ブルーピリオド』がめちゃめちゃアツイと、にわかに話題になっています。

成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。
その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。
美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポコン受験物語、八虎と仲間たちの戦いが始まる!
アフタヌーン公式サイトより引用)

公式サイトで第一話をまるまる読むことができます。

「美術」って聞くと……「馴染みがない」「よく分からない世界」と思う人も多いかと思います。ピカソとかよくわかんない、自分にも描けそうじゃない?みたいな。絵を趣味にしている私もそうです。

本作の主人公・八虎がまさしくそういうタイプの高校生なのですが、ある日偶然に見た一枚の絵がきっかけで、美術の世界にのめりこんで行きます。

絵を描く人もそうではない人も、八虎の視点から鮮やかに描き出される「絵を描くことを通して得られる喜び・悲しみ・悩み・怒り」に、心を揺れ動かされまくるはずです。

まずもって、絵がめちゃくちゃキレイ

表紙を見ていただければもう分かりますが、絵のクオリティが半端ないです。いわゆる「画力」だけの話ではなく、構図とか、発想がもうすごくて、くぎ付けになって見入ってしまうページが非常に多い。

試し読みができる第一話で、八虎が想像の中で「早朝の渋谷」を浮遊するシーンなんか、もううっとりしてしまうじゃないですか。早朝の済んだ空気が、それでいてちょっと都会っぽい匂いとかが、伝わってくるかのようです。

パラパラめくって絵だけ見ていても飽きません。それもそのはず、作者である山口つばさ氏が美大出身だからです。美術うんちくや美大受験のくだりも非常に説得力あるストーリーに仕上がっています。

私は最近は電子書籍を買うことが多いのですが、隅々までじっくり見たさに『ブルーピリオド』は紙で買いました。正解だったと思います。笑 細かいとこまでガン見できて最高です。これから読む方にも、ぜひとも紙版をオススメしたいです。

悩む主人公たちから目が離せない

それまで上手く世渡りしつつも「無趣味」だった主人公・八虎は、ひょんなきっかけから絵を描く楽しさに目覚めます。

もともと努力型の人間である彼は、絵に打ち込むため、美術部に入り、美大の予備校に通い、人一倍の努力をしてメキメキと実力を挙げていきますが……。

そんな八虎を待ち受けているのは、自分より段違いに上手い同年代たち、美大受験という厳しすぎる現実、「好きな絵」ではなく「美大好みの絵」を描かされているのではないかという疑問、そして「楽しんで描いたものが否定されたらどうしよう」という恐怖感……

「好きだからって、いつでも楽しいって意味じゃないよ」という八虎のセリフに、彼の苦悩がギュッと濃縮されています。

特に、彼のライバル格として登場する男子生徒・世田介とは、社交的な八虎でもソリが合わずぶつかり合う場面もあります。

やっと「絵」という夢中になれるものを見つけられたと思っていたのに、世田介に「おまえなんて、美術じゃなくてもよかったくせに」と言われた八虎が、どうやって答えを出したのか、ぜひ漫画を読んで目撃してほしいです。

絵に限らず、何か好きなことに一心不乱に取り組んだことのある方には、必ず響くものがあるはずです。

何度も壁にぶち当たりながらも、その壁に対して答えを出し、乗り越えていくさまは、まさにスポコン成長物語です。

彼らはどうして絵を描くのか

美術には、正解も勝敗もありません。自分が描いたものが良い絵かどうかは、見る人によって変わります。

美術を極めたからといって、アート後進国とも言われる日本では特に、美術だけで食っていくのもかなりハードな人生です。

それなのに、どうして彼らは過酷な競争を戦い抜き、美大を目指すのか。

なぜ「絵を描くことが楽しい」のか。なぜ彼らは苦しくても絵を描き続けるのか。あるいは、彼らが「絵を描くのが苦しい」と感じ、筆をおいてしまうのはどんなときか。

そんな「美術の世界」へ飛び込んで、彼らの情熱の先にあるものを垣間見ることができる、素晴らしい漫画です。

ぜひ、絵を描く彼らの心の叫びを聞いてみてください。